首都圏を中心に女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開するスマートデイズ(東京都)がサブリース賃料の支払いを停止した問題で、オーナー13人が27日、同社や関連会社などを相手取って計2億円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。原告側代理人の加藤博太郎弁護士によると、かぼちゃの馬車をめぐる提訴は全国で初めてとみられる。(訴訟に至る経緯は既報の通り)

計画性の高い詐欺的行為

訴えを起こしたのは、1億円弱~2億円程度のかぼちゃの馬車を1棟または2棟購入した30~50代の会社員ら13人。訴状では、「スマートデイズによるサブリース賃料の保証は当初から実現可能性のないまやかしであり、著しく割高な不動産を購入させるための方便にすぎない。業者が多額の利益を抜くだけ抜いて、計画的に破綻させる詐欺的スキーム」などと指摘している。

原告側は「複数の会社がそれぞれの立場でこのスキームに関与しており、共同不法行為が成立することは明らか」と主張。スマートデイズとその役員に加え、販売会社や建築請負会社、不動産コンサルティング会社などを相手取り、実際の物件価値と購入代金の差額として1人あたり1000万~2000万円の損害賠償を求めた。

争点は

スマートデイズ(旧社名・スマートライフ)は2014年4月から、30年間賃料を保証するサブリース契約で女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開。物件数は約800棟・1万室に上るが、ほとんどの案件で融資を引き受けていたスルガ銀行が昨年10月に方針を転換し、予定していた販売ができず資金繰りが悪化。オーナーへの支払いは今年1月から完全に停止されている。

今回の争点は、このスキーム自体が当初から破綻することの明らかな詐欺的行為だったかどうか、そして各業者がどのように関与して利益を抜き、どこにカネが流れたか、ということになる。

 

加藤弁護士は「スマートデイズの役員の証言などによると、例えば年収800万円なら9200万円の物件、年収1000万円なら1億2000万円の物件など、年収に応じて物件価格を決め、そこから機械的に逆算して利回り8、9%になるようにサブリース賃料を設定していた」と指摘。「そのため、保証した賃料は実際に入ってくる賃料との乖離が著しく、早期に破綻することが明らかだった」と語る。

さらに、販売会社はオーナーに対して販売手数料やコンサルティング料名目で多額の金銭を受け取っており、建築業者からスマートデイズに対しては建築請負代金の50%にも及ぶキックバック契約が存在、オーナーは実際の価格に見合う価値がない割高な物件をつかまされたと指摘している。

預金残高が「500倍」に改竄されたケースも

土地取引についても中間省略によって価格を水増しし、多額の利益を乗せてオーナーに割高な土地を売りつけたと主張。加藤弁護士はスマートデイズ役員の証言などを基に、販売会社の元締め的立場だった会社について、土地代金の中抜きによって得た20億円程度をスマートデイズの実質的経営者が関与する別会社へ流していたとみている。

また、今回の一件では販売会社の多くが、高額な融資を引き出すためオーナーの年収や預貯金に関する資料を改竄してスルガ銀行に提出したとみられている。原告側のオーナーの1人は「販売会社にネット銀行の画像キャプチャを送ったが、2万円の預金残高が1000万円に改竄されて提出されていた」と証言している。

加藤弁護士は「土地の中間省略での中抜き、キックバックによって水増しされた割高な建築費、高額な各種コンサル料や販売手数料等によって、それぞれの業者がオーナーの借入金を原資に多額の金銭を抜く形になっている」と説明。今後は詐欺罪での刑事告訴も検討しており、「複数の業者が関与した詐欺的スキームの全容解明に努めたい」としている。

(楽待新聞編集部・金澤徹